ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

それなのに、いまだに巻かれたテーピングを見ているだけで胸が締めつけられるように苦しくなり、顔が険しくなってしまう。


「はぁー」


大河は大きな声を上げ、広場の真ん中に大の字で寝そべってしまった。

『制服が汚れるよ』と言おうとしてやめた。
そんなこと、どうでもいいや。

私も彼の隣に行って、同じように寝そべった。


「栞、シャツが汚れるぞ」

「大河もだよ」


汚れてもこうしたい気分だった。

最初はグローブでボールを受けることすら難しく、投げればとんでもない方向に飛んでいってしまい……草むらの中からボールを探し出す時間のほうが長かった。

そんなことをふと思い出して、感慨深い。


「俺はいいって。栞は一応女だろ?」

「一応って、失礼ね!」


大河が野球を始めて、本当は私も一緒にやるつもりだった。
でも女の子は甲子園に行けないと知って、あきらめた。

あのときほど男の子になりたいと願ったことはない。