ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

今日の試合は、そのくらい私たちの心にダメージを与えた。


帰りはいつものように、大河のうしろをついていく。

けれど今日は皆口数が少なく、ひどく疲れた様子だった。


皆と別れ電車に乗り込み、席に座った大河は、ボーッと窓の外を眺めている。
焦点の定まらない彼を見ていると、胸が苦しい。

甲子園は、五歳で野球を始めた頃からの彼の夢。
だけど、どう頑張っても無理かもしれないと思ってしまうほどの現実が立ち塞がった。


自宅の最寄り駅で降りると、彼はいつものように待っていてくれた。


「栞。ダメだった」


開口一番、そう言った彼は眉をひそめる。


「ううん。お疲れさま」


他になんと声をかけていいのかわからない。

「うん」と短い返事をした彼は、ゆっくり歩きだした。


彼の苦しげな顔を見ていると胸が痛い。
私になにができるんだろう。


大河はそれからしばらくただ黙って歩いていたのに、突然私の手首をつかみ、家とは違う方向に進みだす。