ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

だけど……監督の方針が変わらないのだとしたら、来年も大河は先発できない。


「すみませんでした」


汚れたバッドを拭いていると、うしろで大きな声がするので振り返った。

すると、本山くんが三年の先輩に頭を下げていた。

その隣には大河。
彼も一緒に頭を下げている。


「いや、気にするな。頑張れよ」


先輩たちも大河の実力を目の当たりにしている。
だからか、怒っているというわけでなさそうだ。

三年生が出ていってしまうと、大河が本山くんの肩をポンと叩き、「サンキュ」とつぶやいていた。


「けど……このままじゃ」と言う本山くんは、あきらかに落胆の表情。
おそらく私と同じように来年のことも考えているのだろう。


「やっぱ、甲子園なんて無理だよな」


ボールを拭いていた別の一年生が言うと、皆だまりこむ。

今日の試合だけ見れば、そう言わざるをえない。


「そんなことないよ。また明日から頑張ろう」


綾子先輩が励ましても、皆うなずくことはない。
大河でさえも。