ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

いざというときのために常に持ち歩いているバッグに、消毒や絆創膏、そしてテーピング用品は入っている。


「きみ、旭日の子?」


制服でわかったのだろう。
彼はそう言ったものの、遠慮しているのか手を出さない。


「はい、そうです。マネージャーをしています。ほら、早くしてください。治療しましょう」


私は半ば無理やり彼の手を引き、右手の手のひらをのぞきこんだ。


「マメがつぶれちゃったんですね。消毒します。ちょっと痛いですけど、我慢してください」


その手は大河の手と同じようにマメだらけで、何度もマメがつぶれて硬くなった皮膚もあり、練習のすさまじさを想像させた。

すぐに消毒をかけると、しみるのか彼はビクッと震える。


「すごく練習してるんですね。かっこいい手です」


絆創膏を貼りながら言うと、彼は驚いたような顔をしている。


「この手がかっこいい? ボロボロだろ?」

「いえ。私、こういう手、好きです。夢に向かって頑張ってるんだって思えるから」