ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

その手を見て、ハッとする。
元々マメだらけの彼の手は、更に真っ赤に染まっていた。

こんなに練習しているのに、試合に出られるかどうかすらわからないなんて。

チクンと胸が痛んだけれど、私は必死に笑顔を作る。

私が沈んでいるわけにはいかない。
彼の気持ちを少しでも持ち上げなくちゃ。


「早めにしてよ。それじゃ」


一旦大河と別れ、自分の支度を始めたが、ソワソワして落ち着かなくなってしまった。

結局、大河から電話がかかって来る前に彼の家まで行き、玄関で待っていた。


「早いな」


制服に着替えて出てきた大河は、大きなエナメルバッグを玄関に置く。


「ね、グローブ持った?」

「うん」

「ユニフォームは?」

「持った」

「あとは……」

「栞、落ち着け」


大河に指摘され、我に返る。

彼にとって今日は緊張の日かもしれないけれど、私にとってもそうなのだ。