ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「大河……」

こめかみから滴る汗は、もう長い時間練習していたことを物語っている。

こうして黙々とバッドを振っている姿を見ると、いつもドキッとしてしまう。
もちろん、かっこいいからだ。


「栞か。あ、電話した?」

「うん。起きてないかと思って焦っちゃった」

「あー、悪い。なんか目が冴えちまって」


小さな頃からの夢への第一歩なのだから、緊張しているのかもしれない。


「大河、お弁当作ったから買ってこなくていいよ」

「マジ? サンキュ」

「うん。あと、朝ご飯」


私は大きな弁当箱と、もうひと袋彼に差し出した。

今日はお腹が空いて力が出ないのは困る。

ばくだんおにぎりと、お弁当のおかずの余りもの。
そして、彼の好きなコロッケ。


「お、コロッケ。久しぶり」

「うん。そろそろ食べて。出かけるよ」

「わかった。食ったら電話する」


大河はようやくバットを置いた。