ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「うん」


その素っ気なさすぎる返事が、彼の落胆を示していた。


「じゃあな」

「うん。宿題やりなさいよ」

「あー、聞こえない」


耳を塞ぐ大河と家の前で別れたけれど、やっぱりいつもの調子ではない彼のことが気になりすぎる。

二階の部屋に上がり着替えてから窓を開けると、丁度正面に見える大河の部屋の窓も開いていて、カーテンが揺れていた。


彼の姿は見えないが、多分窓にくっつけるように置いてあるベッドに寝ている気がする。


「大河!」


だから私は声を張り上げた。
すると予想は的中して彼が起き上がり、窓から顔を出す。


「なんだよ」

「私、信じてる」


長い年月を共有してきた彼になら、それだけで伝わるはずだ。


「なにかと思えば、青春ごっこかよ」


やっと大河が笑った。


「そ、青春。悪い?」

「悪くないけど、かっこ悪いぜ」

「いいの、私はかわいいから」

「お前……」