ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

小四にもなると、彼は自主練にも励みだすようになり、私はいつもそれに付き添った。

毎日、近所の河原まで一緒に走り、彼はひたすらバットを振る。

六年生までいるチームで、四年生でレギュラーなのは大河だけ。
それもこの努力があってこそだと私は知っていた。


「はー、疲れた」


ひたすらバットを振り、座って見ていた私のところまで戻ってきた彼は、水筒のお茶をごくごくと喉に送ると、隣に座った。


「ね、見て。四つ葉のクローバー見つけちゃった」

「ホントだ!」


一面に敷き詰められていたクローバーを見ていたら、ふと目に入ったのだ。


「これ、大河にあげる」

「いいの?」


私がにっこり笑ってうなずくと、彼は目尻を下げて受け取ってくれた。
そして……。


「俺、栞を甲子園に連れていくから」

「大河……」


いつの間にか『僕』から『俺』に変わっていた彼は、試合でヒットを打っても私の名前を呼ばなくなった。

でも、そう思ってくれているのが泣きそうにうれしくて、私は大きくうなずいた。