ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「大河くん、ピーマンも食べないとダメですよ」

「そんなこと言ったって、僕、嫌いなんだもん!」


ままごとでお母さん役の私が大河に注意すると、大河は本当に泣き出したりして……あの頃は私のほうが強かった。


でも彼は、五歳で野球を始めるとすっかり変わり、泣かなくなった。

ひざをすりむいても必死に泣くのをこらえ、治療したあとまた練習に戻る。

ままごとの時間が減ってしまった私は最初は不満だったけど、いつも練習を見に行くうちに大河の頑張る姿に釘付けになり、いつしか私までグローブを買ってもらったほどだった。


だけど、ぐんぐん力をつけていく大河のキャッチボールの相手にもなれず、結局見ているだけ。


そのうち練習試合では、大きな子を差し置いて試合にも出るようになり、ヒットを打つたび、「栞」と大きな声で私の名前を呼んで手を振ってくれた。

それが私のためにヒットを打ってくれたみたいで、すごくうれしかったのを覚えている。