ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「あとは宿題忘れだろ。そんじゃ、行くぞ」


彼は集めてくれただけでなく、ノートの三分の二くらいを持ち、教室を出ていく。

『行くぞ』って、一緒に行ってくれるの?

たしかにひとりで持っていくのは大変だけど、まさか手伝ってくれるとは。


「波多野」

「あっ、今行く」


呆然と彼を見つめていると、急かされてしまった。


「大河、ありがとう」


廊下で並んで歩きながら彼にお礼を言った。
すると、「普通だ」というわけのわからない言葉が返ってきて首をかしげる。


「普通って?」

「栞が困ってたら、助けるのが普通だ」


そんなことを言われると、鼓動が勢いを増してしまう。
すごくうれしい“普通”だもの。


「お前さ、困ったら俺を頼れ」


いいの? 

いつも素っ気ないから、近寄られるのがイヤなんだと思ってたのに。

私がポカンと彼を見上げると、「放っておけないんだよ」と彼はなぜか視線を逸らして、スタスタと足を速めた。