ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

私たちの前ではわざとらしく弱音をはいてみせる彼だけど、その心の奥には熱い想いがあるようだ。


「でも、倒れるまでやっちゃダメ」

「うん。ありがと。あーぁ、大河は幸せだな」

「どうして?」


本山くんが突然妙なことを言いだすので首を傾げる。


「だって毎日波多野に励まされてたら、そりゃ、やる気にもなるだろうよ」

「私は本山くんも応援してるよ」

「あ、それとはちょっと違うっていうか……。まぁ、いいや。なんでもない」


なにが違うんだろう?と思ったが、彼が言葉を濁してしまうので、それ以上は聞けなかった。

彼は元気になったものの、まだ練習に戻るのはきつそうだ。


「ひとりで平気? 私、片付け手伝ってきていい?」

「うん、頼むよ」


朝練が終わり、グラウンドの整備が始まった。

ここで、二、三年生は部室に引き上げていく。
あとは一年生の仕事だ。

もうクタクタな一年生の負担を少しでも減らしたくて、散らばるボールを拾い始めると、大河がやって来た。