ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

完全に失恋、だ。物心ついたときから彼に恋していたのに、一瞬で私の恋は終わった。
しかも、告白すらできないまま——。


「波多野さん」


真田くんが心配げに私の顔をのぞきこむのでうつむいた。
失恋したてのひどい顔なんて見られたくない。


「俺が大切にするから」


そう言われても簡単にうなずけない。
うなずける、わけがない。

ずっと大河のことだけを見てきたの。大河だけを。


「ごめんなさい」


私は真田くんを残して走り出した。

駅に着くと電車は行ったばかりで大河の姿はない。

彼の気持ちがまったく私に向いていないとわかっても、私が大河をさしおいて、真田くんを応援していたと誤解されたままではつらい。


次の電車に乗り家に帰ると、制服を着替えることすらもどかしく、いつも大河が自主練している空き地で彼を待った。


それから三十分。
バットを持って出てきた大河は私の姿を見つけ、驚いた様子で足を止める。