ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「桜花の真田、すごかったらしいな」


月曜の放課後。
部室に行くと、そんな声がどこからともなく聞こえてきた。


「うん。ひとりで投げきってノーヒットノーランだってさ。まぁ、相手は格下だったとはいえ、すごいよな。やっぱプロから声がかかるんじゃない?」


そうだったんだ。
私は結果すら知らなかった。


私は黙々とボールを磨きながら大河のことだけを考えていた。

大河だってチャンスさえもらえればできるはずだ。
彼ならきっと……。

大河のことで頭をいっぱいにしたのは、真田くんのことを考えたくないからだ。


私のために投げると言った真田くんは、十分すぎるほどの成績を上げた。
でもそれが私への気持ちだと言われても、戸惑うことしかできない。


その日の帰り、大河は忘れ物があると言って、教室に戻っていった。

以前ならこっそり待っていたけど、今はそれもできない。
私はひと足先に学校を出た。