ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「ビュン」と彼のバットが空気を切る音が好き。
調子がいいときはどこか鋭くて、悪いときは鈍い。

それをほかの人が聞いてもわからないかもしれないが、長い付き合いの私にはわかった。

今日は、あまりよくないみたいだ。左脇が少し開いている気がする。

そういうことも今までは彼に話してみて、彼がそうだと思えば修正してきた。


もちろん、素人の私の意見がすべて正しかったわけではないけれど、大河は私の意見をちゃんと聞いてくれた。

またマメがつぶれたのだろうか。
彼は素振りをやめ右手をじっと見つめたあと、ふと私の部屋に視線を送るので慌てて隠れた。

見ていることがバレなかっただろうか。


こんなことですら負担になってしまうような気がして、胸が苦しい。

大好きな大河が、遠い。
すぐそこにいるのに、私たちの間には高い壁ができてしまった。

つらくて悲しくて……ベッドに突っ伏し、声を押しころしてひたすら涙を流し続けた。