ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

そうは言ったものの、本山くんは私たちの間になにがあったのかをおそらく知らない。

なんとか笑顔を作ってみせると「授業行くか」と教室に向かった。


大河は相変わらず席でパンを食べていた。
今日はメロンパンのようだ。

あんなに動いてあれじゃ足りないだろうに。


私は彼の視界に入らないように気をつけながら席に着く。

離れたほうがいいのなら、そうする。
でも、自分の夢をかなえるために、甲子園を目指して。

私は彼の後ろ姿をボーッと眺めながら、そう心の中で願った。



週末の桜花の試合には、もちろん行かなかった。

部活が終わると大河とは別々に帰宅し、彼の自主練を自分の部屋の窓からこっそり盗み見するのだけが、楽しみになった。

素振りや腹筋の数を数えるなんてどうしようもない手伝いだったけど、一緒にできていたことがあんなに幸せだったなんて、できなくなって初めて知った。