ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「うん……」

「『うん』じゃわかんないだろー。まったく大河といい波多野といい、俺みたいにべらべらしゃべれっつーの」

「ごめん」


問題が複雑すぎて、どう話していいかわからない。

いや、複雑じゃないか。
大河は真田くんの応援をした私に怒っているだけ。

複雑なのは私の気持ちだけだ。


「あー、もうなんなんだよ。大河に聞いてもなにも言わないし。波多野と大河はふたりでひとりなのに、調子狂うだろ」


彼に『ふたりでひとり』と言ってもらえてうれしかった。
けれど、大河はそんなこと思ってない。


「私は霧島くんの足かせなの」

「それ、本気で言ってるの?」


本山くんは驚いて目を見開くが、私はうなずいた。

もう大河に『重い』って言われちゃったんだよ。


「前にも言ったよね。大河は波多野を甲子園に連れていきたくて……」

「ううん。私、霧島くんが甲子園を目指しているのを知って、応援してた。でも甲子園に行くことがいつの間にか私の夢にもなってて、その想いを勝手に押し付けてた」