ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

ずっとそらしていた視線を彼のほうに少しだけ移すと、真っ赤になった右手が見えた。
彼も厳しい練習を積んでいるんだ。


「もう、来ないでください。失礼します」


私は小さく頭を下げて彼から離れた。

頑張っている人は応援したい。
だけど今は、『応援してる』とは言えない。


どうしたらいいの?

私は大河のことが好き。
どれだけ真田くんが優しくしてくれても、気持ちは大河にしかない。

でも、『霧島にその気がないんだったら』という真田くんの言葉が頭の中でリフレインする。

そのとおりだ。
大河は私のことなんて眼中にない。

わかっていたとはいえ、現実を突き付けられ、胸が張り裂けそうに痛んだ。



「なぁ、大河がチョー機嫌悪いんだけど、どうしたんだ?」


次の日、本山くんが朝練のあとに私のところにやってきた。

やっぱり真田くんが来ていたことに気づいたにちがいない。