ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「さ、こーい」


それでも大河は文句を言うことなく、ひたすら声を上げボールを追っている。

他の一年生はちょっと疲れた様子で動きも鈍い。
毎日球拾いと基礎トレーニングばかりでは、やる気もそがれてしまうようだ。

四月の時点で一年生は十二人いたのに、六月に入り三人やめてしまった。
毎年このくらいの確率でいなくなるのだとか。

マネージャーは私を含めて四人。
一年は私だけだ。


飲み物の準備からノックの手伝いまでやることは無数にあって、選手ひとりひとりのフォローまではなかなか目が行き届かない。


「波多野」


バッティング練習が始まって二十分くらい経った頃、大河が私を大声で呼んだ。

彼は先輩たちの前では私を『波多野』と呼ぶ。

大河の声のほうに視線を移すと、本山くんが倒れていてハッとした。


「救急箱」


先輩マネージャーに言われ、慌てて救急箱片手に走り出すと「水持ってこい」と大河の指示が飛ぶ。

ケガではないと察知した私は、ペットボトルの水を二本抱えて走り出した。