ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

ずっとうつむいていた大河が顔を上げた。

チャンスが回ってくると思ってくれたなら、こんなにうれしいことはない。


「栞、やったね」

「はい、ありがとうございます」


私が監督のところに直談判に行っていたことを知っている綾子先輩が一緒に喜んでくれるので、じわじわと瞳が潤みだす。


「泣かない。これからだよ」

「すみません」


でも、それくらいうれしかったのだ。
真っ暗だった旭日高校野球部の未来に、ひとすじの光が見えた気がした。


ミーティングが終わり、部員が部室から出ていくとき、大河が私にチラッと視線をよこした。
だけど私は目を合わせることができずに、うつむいた。

もう、私のことなんて気にしなくていい。
でも、夢はかなえて。

彼への想いを必死に抑え、心の中でそう願ってから、部室の掃除を始めた。