ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

けれどその目はどこか虚ろで、心ここにあらず、という感じに見えた。


「私が身を引けばいいの?」


そうすれば大河は野球が楽しくなるの? 
もう一度、甲子園を目指そうって思ってくれるの?


それからすぐに彼は家に入ってしまった。
いつもやるピッチング練習もしなかったし、大切にしているバットも放り出したままだ。


大河をこんなふうにしたのは、私なの?


それから向かいにある彼の部屋で人影が動いたので、私は慌てて隠れた。
彼に合わせる顔がない。

よかれと思ってしていたことが全部迷惑だったなんて、どれだけ私はバカなの?

泣きすぎて頭が痛い。
でも、心がもっと痛い。


「大河……。イヤだよ、大河」


時間が巻き戻せるのなら、リトルリーグ時代に戻りたい。
あの頃は楽しかった。

そんなことを考えていると、いったんは止まっていたはずの涙が再びあふれ出してしまった。