ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

でも、マメをいっぱい作りながら練習に励む大河は、口先だけで甲子園に行くと言っていたわけじゃない。


「栞、よかったな。真田が連れていってくれるってさ。お前の夢がかなうな」

「大河、ちが……」


ちがう。私の夢は大河が甲子園で投げることなんだよ? ほかの人じゃダメなんだよ?


「重いんだ。栞が甲子園甲子園って追いつめるから、野球が楽しくないんだよ!」


嘘……。私のせいで、大河は苦しいの?

私はがくぜんとした。
そんなこと、ちっとも気づかなかった。


「じゃ」


大河が私に背を向けた。


「大河、待って!」


行かないで。


「波多野さん」


大河を追いかけようとしたのに、真田くんに腕をつかまれ、引きとめられてしまった。


「離してください。行かなくちゃ」


私、バカだ。
苦しい練習に耐えているのは大河なのに、勝手な願望を押しつけてしまっていた。