ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

朝、あんなことがあったけれどふたりは楽しそうに話をしていて、私たちのいざこざに本山くんを巻きこまなくてよかったと胸をなでおろした。

やがて駅に着き、ふたりは別れるのかと思いきや「波多野」と本山くんが私を呼ぶ。
その瞬間、大河がハッとして眉間にシワを寄せたのが見えてしまい、胸が締めつけられる。


「なに? 足、痛い?」

「ううん。こっち来いよ」


わざと少し離れたところから聞いたのに、本山くんは私を呼ぶ。
仕方なく近づくと、「仲直りしろ」と唐突に言われて、目が泳いでしまった。


「お前はおせっかいなんだよ」

「あらぁ、奥様の言うことは聞くものよ。じゃあね、ダーリン」


本山くんはそれだけ言いのこして去っていってしまう。


「なんだよ、アイツ」


大河が顔をゆがめるので、動揺してしまった。もう話すのもイヤなんだ……。


「俺、栞との約束、守れそうにねぇよ」