ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

本山くんのひと言にドギマギしてしまい、まともに大河の顔を見られない。

たしかに、皆と一緒にいるときの大河はツンツンだけど、時々さりげなく私を助けてくれる。


「ハァ……」

「ほら、本山くん頑張って!」


励ましながら本山くんに手を差し出すと、大河は私と本山くんの間に割って入り、それを阻止する。


「栞、悟を甘やかすな」

「いいじゃない、これくらい」

「ダメだ」


『大河だって朝は甘やかしてあげているでしょ?』と言いたいのはやまやまだけど、彼の名誉のために黙っておいてあげることにした。


「大河ちゃん、ちょっと休憩」

「だからダメだっつーの。栞、頭から水ぶっかけてやれ」


大河はそう言い残してキャッチボールに向かってしまった。


「本山くん、もうひと踏ん張り」


朝練はこの走り込みが一番きつい。
だけど下半身を鍛えるためには欠かせない。

やっと立ち上がった彼にグローブを渡すと、彼はもうスタンバイしている大河のところにヨタヨタと走っていった。