ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

駅からゆっくり足を踏み出した頃には、もう大河の後ろ姿すら見えなくなっていた。


その日は家に帰ってからも大河は外に出てこず、自主練もしなかった。

もちろん、私のほうから積極的に真田くんに近づいたわけではないけれど、もしも私の行動が大河の野球人生を狂わせたら……と不安でいっぱいになる。

ただでさえ勝てないいらだちを抱えている大河をフォローするのが私の役割だったのに、逆の結果になってしまった。


翌朝のモーニングコールを迷いに迷い、数回電話を鳴らすだけで切った。
とても大河と話すことができそうになかったからだ。

また『マネージャーやめろ』と言われたらと、怖くてたまらない。


私はいつもの時間に家を出て、大河を待つことなく朝練に向かった。

同じ電車に大河の姿はなかったけれど、朝は何本も電車が走る。一本くらい遅れても遅刻にはならないと自分に言いきかせ、彼が来ることを信じた。