ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

「ごめんなさい、私が余計なことを言ったからですよね」

「どうして謝るの? 最善の方法をとっているだけで、俺はよかったと思ってるよ。おかげで足の筋力もついたし」


彼はそう言いながら、マウンドのピッチャーに視線を送る。


「波多野さんの言う通りだと思った。俺は甲子園に行くために頑張ってきたんだ。今、無理をしてダメになったら、後悔する」


彼の小指にはまだテーピングが施されている。


「あの、突き指は?」

「うん。実はちょっとひびが入ってたんだ。波多野さんが病院に行くように言ってくれなければ、ポキッといってたかもね」


クスッと笑ってみせる彼だけど、まさかそんなにひどかったなんて……。


「よかったー」


ホッとして漏らすと「ホント、波多野さんは面白い」と彼は言う。


「面白いところなんてありました?」

「だって、普通は他校の選手なんてケガしちまえって願うところだよ?」

「そんなこと願ったりしません」