ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

大河はうつむいたままなにも言わない。
そして本山くんも声を上げることをあきらめてしまったかのように見えた。


それでも、監督が頻繁に大河のピッチング練習を確認しに来てくれるようになった。

特になにかをアドバイスすることがないのは、大河のフォームが優れているからだと思う。

リトルリーグ時代も『これ以上教えられない』とコーチに言われていた。


「霧島はカーブの使い方がうまいな」

「それは悟のリードがうまいんです」


そう言う大河は、キャッチャーの力の大きさも実感している。
そしてそれに応えたいと本山くんが必死なのも伝わってくる。

私は『このふたりを試合に出して』と言いたいのをぐっとこらえて、様子を見守った。