ずっとずっと、キミとあの夏をおぼえてる。

私が言うと、監督はパラパラと資料をめくっている。


「それだけの選手だったのに、どこからも声がかからなかったのか?」

「それは……彼がチームをかわろうとしなかったからだと思います。うまい選手はより強いチームに引き抜かれ、全国で活躍します。そうすれば選手自身も注目されます。でも彼は、家の事情もあって、ずっと地元の小さなチームで頑張ってきたんです」


なんとか大河の情熱をわかってもらいたい。
そして、上級生優先という考え方を改め、勝つことを一番に考えてもらいたい。


「たしかに霧島は他の部員とは違う。投球フォームも出来上がっているし、球速も十分すぎるほどだ。だが、ここは公立高校だ。皆を平等に扱わなければならない」


そんな考え方は間違っている。
どれだけ平等に扱われても、勝てなくては意味がないのに。

監督の言葉にため息が出そうになったけれど、そこはぐっとこらえて口を開く。