もっと、俺のそばにおいで。



「さいあくっ」


「……っ」



冷たい口調で放たれて、ずきんずきん心が沈む。


それってあたしに言ってる?

それとも関根先生のこと……?



「で、いつ戻すって?」


「あっ……今日の……放課後……」


「あっそ」



アレ?

案外怒ってない?


今すぐ取り返してこい!とか言われると思ったのに、拍子抜け。


一言で済ました青山くんに、ばくばくしていた心臓が少し穏やかになってくる。


でもっ……!


それだけじゃない。まだあるんだ。


あたし、青山くんの彼女ととんでもない修羅場を作っちゃったんだった……!


隠したってバレるのは時間の問題だし……。


なんて説明しよう……。



「あ、見つけたぁぁ~~」



と、そこへ甘ったるい声が響いてきた。


同じように甘ったるい香水の香りを漂わせながら現れたのは、どこの少女マンガから飛び出してきたんだろうと思うような絶世の美女。