「マジかよっ……。俺は敢えて花恋に借りに行かなかったんだよ」
「え?どうして……?」
「花恋に忘れた教科書借りるとか、んなカッコ悪いことできるかよ。男って、好きな女の前ではカッコつけたい生き物なんだよ」
「……っ」
好きな女……って言葉に、かああっと全身が熱くなる。
確かに嬉しい言葉だけど。
「……あたしは……どんな翔くんでも見ていたいの。カッコ悪くても……好きな男の子が頼るのは……自分だけにしてほしい……」
ギュ……、思わず翔くんのシャツの裾を掴んでいた。
自分でも、こんなこと言うなんてビックリ。
でも、誰かに渡したくない、自分だけを見ててほしいと本気で思ったから。
「……ごめんね……心狭くて……」
「いやっ……むしろ嬉しいっつうか」
「え?」
「やべ……」
手を口に当てた翔くんの顔は、少しニヤついていた。



