ハッとして顔をあげると。
「あっちで話そう」
翔くんが指したのは、木々の茂った人気の少ない場所だった。
……話。
……うん。そうするしかないよね。
なにも話さず花火なんて見れないよね……。
歩き出した翔くんに続いて、あたしもちょこちょこと足を進める。
少し涼しくなってきた風が、浴衣の首元を撫でる。
足を止めると、翔くんは口を開いた。
「なんで電話出てくんないの」
「……」
なんで……
「…………ごめん……なさい」
あたしは俯いたまま謝った。
すると、思わぬ声が振ってきた。
「いや、謝るのは俺のほうか……」
「え……」
と、顔をあげる。
「昨日のあれ」
真顔で言うのは、きっと朋美ちゃんと抱き合っていたあの場面のこと。
思い出して、ズキ、と胸が痛んだ……。



