ドクドクドクドクッ……。
あたしの鼓動は、青山くんの胸という壁を通じてあたしの体に跳ね返ってくる。
それほど密着した体に、もう頭がパンクしそう。
「俺も」
「……」
「俺も、好き」
「……!?」
ビックリするような声が聞こえてきて体を離しそうになったところを、また青山くんがギュッと抱きしめてきた。
うそ。
いま、青山くん、好きって言った……?
心の問いかけに答えるように、その手に力が加わる。
「花恋」
「……っ」
はじめて名前で呼ばれてドキドキする。
「花恋は、お人よしなんかじゃねえよ」
「……」
「ただ、いい人、なんだよな」
「……っ」
ゆっくり体が離されて、至近距離で目に映ったその口元は、柔らかく弧を描いていた。
イヤって言えずに、断れなかったり。
適当に人に合わせたり。
それが返って周りに迷惑になると言った青山くん。
その通りだった。
そんなお人よしな自分がイヤだった。
お人よしって、褒め言葉なんかじゃないもん。



