胸が、ドクンッ……という。


それを目にしただけで、あの日の記憶が蘇って。


青山くんと一緒に逃げて、笑い合った昼休みを……。


胸が疼くのを感じながら、その自販機の前を通り過ぎた。



ギリギリに図書室に入ると、一番最後だったらしく、委員会はすぐに始まった。



「この間はテスト前にも関わらず、協力してくれてありがとう」



仙石先生が、図書室が改修工事に入ったことと、その前の作業も無事に終わったことを報告する。



「1年では、青山と藤井が手伝ってくれたんだったな。ふたりともよく働いてくれた。みんなで拍手ー」



仙石先生が、1年生の図書委員メンバーに向かってそう告げる。


仙石先生に乗せられて拍手が起こるものの、それはパラパラとしたやる気のない全くの社交辞令。


全員がこっちを見ているけど、どの顔も、感謝という顔ではない。


むしろ興味本位で見られている。


それはそう。


だって、"あたし"だから。