もっと、俺のそばにおいで。



全クラスにあれが書かれていたというのはほんとらしく、その日は一日中、あたしは好奇の目にさらされていた。


教室にいてもいたたまれないのに、廊下に出たって周りの視線が痛い。


ヒソヒソと囁かれる声もそうだし、冷たい視線も。



「ねえねえあの子でしょ、ウワサの」

「えっ、笹本くんがコクった子じゃない?」

「わー、大人しそうな顔してるのに」



うっ……。


聞きたくないのに、聞こえてくる声。


あんなのデタラメなのに。


ウワサって、嘘であろうが一度情報が出回ってしまったら、その人の印象に直接かかわって来てしまう恐ろしいモノ。


あたしを知らない人は、あたしのイメージをそういう風に固めてしまうから。


もし後で誤解だと分かって訂正しても、この一報を知っているすべての人に伝わるとは限らない。

その人にとってあたしは、ずっと負のレッテルを貼られたまま。


だから、ありもしないウワサって怖いんだよ……。


"笹本くんが告白した女"として覗きに来られたときの居心地の悪さが比べものにならないくらい辛くて、ずっと下を向いていた。