ばいばい、津崎。



月日が流れるのは本当に早い。

あの頃、周りから大人びていると言われていた私が、今は一番大人になりきれていないような気がする。

変わったところはたくさんある。

でも、変わっていないこともたくさんある。例えば、この消化することのできない気持ちとか、時間が経つにつれて増していく後悔とか。


美貴はそのあと、トマトパスタを作ってくれた。テーブルにお洒落なランチョンマットまで敷いてくれて、立派な主婦の姿にちょっと感動してしまう。


「それで、どうかな?みんなで集まるって話」

話題はあのメッセージの内容になった。


「皐月も色々と忙しいと思うけど、久しぶりに島に行かないかなって」

〝島〟という単語に私のフォークを持つ手が止まる。


「皐月は高校卒業してから一度も帰ってないでしょ?」


美貴は他のみんなはお盆やお正月には顔を出しに行ってることは知っている。私も行こうと思えばいつでも行けた。だけど、やっぱり忙しいという理由をつけて、行くことから逃げていた。だってあの場所は……。


「〝健ちゃん〟を思い出すのがツラい?」

美貴が私のことをまっすぐ見つめていた。

逸らしたのは私のほう。ツラいなんて口に出してしまえば、もっともっと悲しくなる。


散々泣いて、散々落ち込んで、散々大丈夫だと自分を奮い立たせてきたのに、きっと一瞬で私は崩れる。

それぐらい不安定で、私の時間は10年前で止まってしまった。


なにも言わない私を見て、美貴が切なそうに眉を下げる。そして今にも起き出しそうに動く羽菜を気にしながら、静かに唇を動かした。


「早いよね。もう10年だなんてさ。26だよ、私たち。本当に信じられないよね」