ばいばい、津崎。



「でも昨日、目を離した隙にこの窓から外に脱走しちゃって。それでたまたま見つけてくれたのが津崎だったんだよね」

「……え?」

私の子猫を撫でる手が止まる。


――『……迷い猫、助けて遅れた』

昨日津崎が言っていたことを思い出した。


「俺も遅刻とか関係なしに探すのに必死になってたんだけど、軽トラックに轢かれそうになってたところを津崎が助けてくれたんだよ」


ほら、津崎が言ってたことは嘘じゃなかった。

担任も他のみんなも疑うような目で見ていたけれど、津崎が優しい人だってことは私がよく知ってるから。


「あんまり津崎と喋ったことなかったけど、けっこういいヤツでさ――」

「そうでしょ!?」

哲平の言葉に被せるようにして声が大きくなってしまった。哲平がビックリして目を丸くさせているから、私は急に恥ずかしくなって「ごめん。つい……」と顔を手のひらで扇ぐ。


「……山本さんは津崎と仲いいの?」

私が小さな風を作り続ける中、哲平が聞いてきた。


「仲……いいとはまだ言えないかもしれないけど、津崎は他の人とは違うかな。友達でもないし、ただのクラスメイトとはちょっと違う……って、なに言ってんだろ、私」

誤魔化すように笑ったあと、また膝の上の子猫を撫でる。