ばいばい、津崎。




「どうぞ」と、門を抜けると、目の前にはまるで海外にいる錯覚をするような洋風の庭。

漫画でしか見たことのないようなマーライオン風の石像から水が出ていたり、色とりどりの花が綺麗にガーデニングされている。

私は自転車を押しながら「ここに停めていいよ」と言われて、家の玄関の前でスタンドを下ろした。


こうして何気なく付いてきてしまったけれど、さすがに家の中に上がるのはまずい気がする。

今の哲平と大人の哲平の私に対する気持ちは違うけれど、応えられない以上、誤解を招くことだけはしたくない。


「ちょっと待ってて」

私の不安とは裏腹に、哲平が開けたのは玄関のドアではなくリビングへと繋がっている網戸。そこから無造作に靴を脱いでバタバタとフローリングの床を駆けていく。

暫くすると哲平が戻ってきて、その手には銀色のゲージ。中には焦げ茶色をした子猫が5匹入っていた。


「……可愛いっ!」

先ほどまでの葛藤はどこへやら。あまりの愛らしさについ興奮してしまった。


「母猫がイヤがるから少しの間じゃないと俺も触れないんだ。抱っこしてみる?」

「いいの!?」

哲平はすぐにゲージから子猫を出してくれた。私は窓のサッシの部分に座らせてもらい、膝の上に子猫をのせると羽が生えてるようにに軽くて毛並みはふわふわ。


「ぬいぐるみみたいー!」

肉球も小さくてピンク色。おまけに前足で私のお腹をふみふみしはじめて、可愛すぎてずっと抱っこしていたい。


「今の時期は毛が抜けやすいから洋服に付いちゃうかもしれないけど……」

「全っ然平気!」

ああ、本当に癒される……。