「ちょっと、いつまで寝てるのよ!」
そんな声に目を開けるとベッドの横には呆れた顔のお母さんが立っていた。
携帯の画面を確認すると、時計は11時すぎ。
「んー」と無視するようにタオルケットを顔に被せると、すかさずお母さんに剥ぎ取られてしまった。
「お布団干してあげるからさっさと起きなさい」
そう言って布団叩きでお尻を叩かれる。
「えー、もうちょっと……」
「なに言ってるの。ほらほら、扇風機も消すわよー」
寝起きの私と温度差のある声でお母さんはてきぱきと動く。
エアコンがついていない部屋では扇風機だけが頼みの綱。電気代はバカにならないけれど、熱中症にならないように夏の間は一晩中稼働している。
そのスイッチを切られた瞬間に、どっと汗が吹き出てきて寝ている場合じゃないと私は飛び起きた。
お母さんは家中の窓を全開にして、リビングに置いてあるクッションまで太陽が当たるベランダに並べられていた。
さっきは寝起きで頭が回らなかったけれど、布団を干してもらえるなんてありがたい。
お母さんはそのあと昼食にそうめんを用意してくれて、やってくれる人がいると、ついつい甘えがちになってしまう。
「ねえ、このハガキを郵便局に出してきてくれない?」
そうめんも食べ終わり私が食器を重ねて台所に運んでいると、お母さんが思い出したように戸棚に置かれていたハガキを手にとった。



