ばいばい、津崎。



津崎はその日、教室移動と昼休みの昼食以外はすべて寝ていた。それはもう『俺の睡眠を妨害するな』というオーラを放ちながら。

そして帰りのホームルームで担任は来週の月曜日に行われるマラソン大会についてのプリントが配られた。

そこには男女別に走るルートと平均タイムが記載されていて、それに間に合うようにして走らなければいけない。そのタイムを越えてしまうとゴール扱いにはならないという厳しいルールも存在する。

走る距離は女子は6km。男子は10km。

スタート開始時刻は1限目がはじまる9時。


担任は「サボるなよー」と念を押すように言って、今日の学校は終わった。


次々とクラスメイトたちが帰る中で、一際深いため息をついていたのは剛。「月曜日なんて永遠に来なければいい……」と、ブツブツと唱えながら教室を出ていく。

ふと、津崎の席に目を向けると、すでにその姿はなかった。


……いつの間に。

そういえば遅刻はするくせに帰るのは誰よりも早かった気がする。


「皐月ー。途中まで一緒に帰ろう?」

美貴が帰り支度を終えて、誘ってくれた。


「う、うん。帰ろう」

明日からまた津崎に会えなくなってしまうことが気がかりだけれど、勇気をだしてメールでもしてみよう。

夏が終わってしまう前に。あの日がくる前に私はきみに伝えなければいけないことがある。