ばいばい、津崎。



それは未来のことを知っているからで、と自分の行動に理由をつけようとしたけど、それは違うとかき消した。

こうしてトリップしてくる前も、津崎は私にとって他の人とは違ったから。気づけば目で追っていて、いつでも視界の中にいた。


それを当時は理由付けようとはしなかった。

そうする必要がなかった。だって津崎がいなくなってしまうなんて、想像もしていなかったから。

でも今は津崎への気持ちを自覚するよりも、やるべきことがある。


「美貴こそ彼氏とはどうなの?」

私は話題を反らすように質問を返した。


「えー私?ラブラブだよー。明日会えるから楽しみ」

明日は土曜日だから美貴はデートか。学生の時の私は週末は昼過ぎまで寝て1日中ゴロゴロしていた記憶しかない。

学校がないと津崎に会えない。せっかく謹慎が明けたっていうのに時間ばかりが過ぎてしまう。


そんな焦りを抱えながらB組に戻ると、津崎の席に何故か哲平がいた。寝ていたはずの津崎は顔を上げていて、なにやらふたりは喋っている。

その光景をクラスメイトたちが不思議そうに注目していて、哲平が話を終えてドアのほうに歩いてきた。

目が合ってニコリとされたから「なに話してたの?」と聞こうとしたけれど、授業のはじまりを告げるチャイムに邪魔されてタイミングを逃してしまった。


「坂井が津崎と話してんの初めて見た。仲よくなかったのかな?」

A組に入っていく哲平を美貴が追うように見ている。


「さ、さあ……」

津崎と哲平は不良と優等生という比較対照にいたから、美貴を含めてみんなが驚くのもムリはない。