ばいばい、津崎。



私は「ちょっと待ってて」と美貴に告げて、津崎の席へと向かった。そして寝ている津崎に「ねえ」と強めに肩を叩く。


「あ?」

津崎は予想どおりに私を睨むようにして顔を上げた。普通ならこの威圧感で怯んでしまうところだけど、残念ながら不機嫌な津崎には少なからず免疫がついている。


「飲み物、なんか買ってきてあげようか?」


津崎はよく学校ではホワイトソーダという炭酸飲料を飲んでいた。


私はどちらかというと柑橘系のシュワッとしたものが好きだから甘さが口に残るホワイトソーダはあまり飲んだことがないけど、津崎はいつもそればかりを好んでいた。

しかも缶はブルーの星が散りばめられている可愛いデザイン。

それを津崎が飲んでいると見た目とのギャップで、何故かときめいてしまっていて、『いやいや、おかしいでしょ』と自分のキュンスイッチを否定していたことを思い出す。


「なんでお前が俺の飲み物、買ってくんの?」


たしか私は津崎のパシリじゃない。だけど、世の中にはついでに、という言葉があって津崎も喉が乾いているかなと思っただけ。決してそれを口実に少しでも話そうとしたわけじゃない。


「いつものやつが飲みたいかなと思って聞いただけ!」

津崎は明らかに私の好意を素直に受け取っていなかった。むしろなにか企んでるだろ、っていう目をしている。


「お節介ばばあ」

「なっ……!!」

津崎はそう言ったあと、私の飲み物作戦を拒否すると同時に再び机に顔を伏せてしまった。