ばいばい、津崎。




「こら、謹慎明けに遅刻なんていいご身分だな」

担任がチクリと注意する。


「……迷い猫、助けて遅れた」

「見え透いた嘘をつくんじゃない」

担任が露骨にため息をついて、津崎はギロリと睨みながら自分の席へと向かう。その間、ずっとみんなは津崎のことを目で追っていて私もそのひとり。


津崎が窓際の一番後ろに着席あと、また睨むような目つきをして、まるでコントのようにみんなの視線が一斉に前に向いた。


「じゃあ、出席確認の続きとるぞー」

ホームルームが再開されて、担任はあいうえお順に名前を呼んでいく。「はい」とクラスメイトたちの返事が聞こえる中で、津崎はすぐに机に顔を伏せてしまった。


津崎がクラスで不良という名の枠に入れられてることは今にはじまったことじゃない。でもそんな特殊な目で見なくてもいいのにって思う。

この集団で浴びせられる視線ほど、恐ろしいものはない。


「ねえ、皐月ー。飲み物買いにいかない?」

ホームルームが終わって、美貴が私の席に近づいてきた。


今日は連日の暑さよりも和らいだ気温だけれど、炭酸を一気飲みしたくなるぐらいモワッとしてることに変わりはない。

私はチラッと津崎を見た。

津崎はずっと同じ体勢で顔をあげることない。