ばいばい、津崎。



そんな剛を放ってはおけずに、私は声をかけた。


「大丈夫だよ。剛はちゃんと走りきるから!」

励ましたつもりなのに、剛は納得していない表情をしてこっちを見る。


「なんでそんなこと分かるんだよ?」

「そ、それは……」と、私は急に歯切れが悪くなった。

まさか未来を知っているから、なんて言えないから「なんとなく?」と、誤魔化してしまい結局「とりあえず頑張ろうよ」なんて、ありきたりな言葉しかかけられなかった。


その帰り道。私は自転車を走らせながらMDウォークマンのイヤホンを耳につけていた。

流れているのは懐かしの曲、なんて10年後では紹介されているものばかり。


昔はいちいちCDからカセットへと録り込んで、曲名やアーティスト名はカセットに付いている紙に手書きで記入していた。

未来では曲なんてスマホにダウンロードすれば瞬時に聴くことができるし、ウォークマンだって手に収まるほどコンパクトで、しかもタッチパネル機能つき。

本当に便利な世の中になっているな……と、感心しながら、ペダルは家ではなく海へと向かっていた。