剛は勉強は平均的にできたけれど、体育だけは大の苦手だ。
「サボった人はペナルティとして離れ小島まで泳いで行ってもらう」
冗談で言っているような口調ではなかったからクラスメイトたちが「えー!!」と一斉に大ブーイング。さらに先生が言葉を付け加える。
「それは赤点の補習と同じ意味だからな。マラソン大会が不参加だったら単位は取らせないし、それを補うペナルティも欠席した場合は体育は赤点のままということで進級はなし」
じゃあ、それ以外の体育の授業はなんだったんだろうって感じだけど、ここで口答えをしても良い方向にいかないことはみんな分かっていた。
「マラソンと小島までの水泳、どっちがツラいかよく考えてサボるなんていう甘い考えは今すぐ捨てるように。以上!」
先生は話を締めくくって、帰りのホームルームが終わった。
ペナルティになっている離れ小島は、海岸から北方に突出する円錐形の島。全山ウバメガシの木で覆われていて、そこまで泳ぐとするとおよそ300メートル。
私としてはマラソンのほうがラクに思える。だけど苦しいことには変わりなくて、ずっと机に伏せたままうなだれている男子がひとり。
「俺、ゴールできる自信ない……」
剛はため息ばかりをこぼしていた。



