「ねえ、私津崎の家知ってるよ?」
諦めて席に戻ろうとした時に、誰かから声をかけられた。振り向くとそこにいたのは美貴だった。
……うわ、美貴も顔が幼い。
美貴は人一倍、東京に憧れが強かったからなのか学生時代は島とは不釣り合いな濃い化粧をしていて、髪の毛もゆる巻きの茶髪だ。
『子どもとか苦手』なんて言っていた美貴が未来では立派な一児の母。なんだか感慨深い……。
「私が津崎の家まで案内しようか?」
そんな中で美貴が長い髪を指先でくるくると回しながら言った。
「うん、お願い!」
私は美貴の言葉に甘えるように返事をして、学校が終わった放課後に津崎の家まで連れていってもらえることになった。
それから1日の授業を終えて久しぶりに勉強をしたけれど、やっぱり理数系は苦手でちんぷんかんぷん。
大人になってから『もっと勉強しておけば良かった』と考えたこともあったけれど、いざ授業となると身が入らない。
それどころか、今のこの状況を整理するための勉強のほうが重要な気がして、ずっとノートに【16歳】【26歳】【トリップ】などの言葉を書いて理論付けるための答えを出そうとしてみたけど、ムリだった。
そして、あっという間に放課後になって、私は今自転車を押しながら美貴と帰り道を歩いている。



