暫くして教室に予鈴のチャイムが鳴り響くと、担任の先生が入ってきた。ゴホンッと咳払いをしながら出席簿を片手に教壇に立つ。
最初の人の名前を言う前に、先生は空席のままになっている窓際の一番後ろの席に目を向けた。
「えっと、みんなも騒ぎのことは知ってると思うけど、津崎は今日から3日間の自宅謹慎になりました」
淡々と説明する先生は、そのあとなにごともなかったかのように点呼を取りはじめた。
次々と名前が呼ばれていく中で、私は津崎の席を見つめる。
先生が言っていた〝騒ぎ〟という言葉。……そういえば、津崎が上級生たちと派手なケンカをしたことがあった気がする。
普段からケンカっ早くて、一度キレたら手がつけられないほどの問題児だった津崎はこうしてよく処分を受けていたっけ。
3日間も自宅謹慎なんて、嘘でしょ?
学校に来れば必然的に会えると思っていたから困惑していた。もしかしたら私がこうして過去にいることは今日限りのことかもしれないし、夢から覚めれば大人の私に戻ってしまう可能性もある。
のんびりなんてしていられない。ましてや3日もだなんて……。
「ねえ、ねえ」
朝のホームルームが終わってすぐに、私はある人物に声をかけた。それは自分の机でアニメ雑誌を広げている剛。
「え、な、なに?」
当たり前だけど、剛の顔がものすごく幼い。
この頃からぽっちゃりしてることは変わらないけれど、こんなに可愛い顔をしてたっけ?
オタク系だからと一線を引いていたこともあったのに、やっぱり心は26歳だから同級生というよりお姉さんのような視線で見てしまう。



