ばいばい、津崎。




今でも津崎との関係を言葉にするのは難しいけれど、大切だ。誰よりも。

今日を無事に過ごして、10年前に叶わなかった22日の朝を一緒に迎えたい。それが、私の願い。


私は津崎の家に着き、インターホンに指を伸ばした。

ピンポーンと鳴り、中からドタバタと足音が響く。ガチャリと鍵が開いて応対してくれたのは……。


「あら、皐月ちゃん」

それは津崎のお母さんだった。


津崎はちゃんとお母さんに私が来ることを説明してくれてるだろうか。いや、津崎の性格を考えれば言っていない可能性がかなり高い。


「あ、あの、健太くんと約束をしてまして」

尋ねられる前に自分から言った。


「本当?健太ならさっき出ていったわよ」

「え……」

「友達の家に行くって。すれ違いになっちゃったのかしら」

お母さんが首を傾げてる中、私も頭の中で色々と考えていた。もしかして、私が津崎の家に行くってことが伝わっていなかったのかもしれない。

だとすると、津崎が向かったのは私の家?

いや、家は教えてないはずだし、まさか剛の家?美貴があのあと津崎に連絡した可能性もあるし、私とのことを忘れてそっちを優先してしまったのかもしれない。  


「えっと、わ、分かりました!ありがとうございます」

私は津崎のお母さんに一礼して、来た道を戻った。