ばいばい、津崎。



「うん。……食べてみる?」

私は林檎飴を津崎に差し出した。だけど同時に私がかじったものだし、私が津崎に対して友達以上の気持ちがあることを本人は知ってるわけだから、こういうのは気持ち悪いというか、引かれてしまうかもしれないと考えた。


「な、なーんてね」と、ふざけたふりをして林檎飴を下げようとした時、津崎が私の右手首を掴んだ。

津崎の大きな手は私の手首をすっぽりと覆っていて、触れられた場所から体温が熱くなる。


「じゃあ、ひと口だけちょうだい」と、津崎はそのまま林檎飴を自分の口元へと持っていき、私はその間、お囃子の音色よりも大きな心臓の鼓動に困っていた。


「……甘っ」

どうやらあまり好みではなかったみたいだけど、「林檎飴が辛いほうがおかしいでしょ」なんて、突っ込む余裕は残念ながらない。


自分の元に戻ってきた林檎飴を私は凝視した。

津崎がかじった箇所を見ながら、ここで躊躇すれば余計に意識してることがバレると思い平然と食べはじめた。

津崎が食べたあとと、食べる前。べつに魔法がかけられたわけでもないのに、今の林檎飴のほうが甘く感じた。