ばいばい、津崎。



世間では26歳は結婚適齢期と言われている。たしかに周りは結婚してるし、仕事場の24歳の後輩の子に先を越されて『ウェディングドレスどれが可愛いですかね?』と、結婚情報雑誌を見せられたばかり。

焦りはない。そもそも結婚願望そのものがない。結婚は幸せなことばかりじゃないと親を見て学んだからかもしれない。


それでも周りは歳を重ねるごとに『結婚は?』『彼氏は?』と、色恋沙汰の話題ばかり。

正直、うんざりする。偽物の指輪でもはめておこうかと思うぐらい私に恋の話はしないでほしい。


「……来月、島に帰ろうって話聞いた?」

頭の中に津崎のことが浮かんだ瞬間、酔いかけていたはずの剛が真剣な眼差しで私のことを見ていた。


……なんだ。やっぱりその話か。

美貴からメッセージがきた時点で、きっとそんなことを計画するのは剛しかないだろうなと、薄々勘づいてはいたけれど。

それで、剛からだと直球すぎるから、美貴に連絡するように頼んだってところだろう。


「うん、聞いた聞いた」

私の返事は軽かった。

そして余っていたカシスサワーを一気に飲んで、すぐにおつまみとして頼んだ枝豆に手を伸ばす。