ばいばい、津崎。



剛は19歳の時に知り合いの紹介で出逢った人と結婚した。奥さんは同い年だけど、とてもしっかりしていて私も何回か会ったことがある。

癒し系の剛と同じで、すごくほんわかとした空気を持っている素敵な人。


「でも、まさか剛が10代でデキ婚するとは思わなかったな」

私はだし巻き玉子を食べながら言った。


学生時代の剛はいわゆるオタク系で、アニメや漫画にしか興味がないヤツだった。

クラスで浮いていたというよりも、ひとりで快適に過ごす方法を知っていて、焼きそばパンを食べながら携帯の待ち受けのアニメキャラをニヤニヤしながら見ていた時はさすがに引いたぐらい。

だから、もちろん彼女なんていたことはなかったから、今の奥さんが初めての恋人であり、剛にとっては初恋の相手。

漫画が好きだった剛が、漫画みたいな恋をして、結婚までしたことは本当にすごいと思う。


「俺は皐月が一番早く結婚すると思ってたよ」

お酒があまり強くない剛はすでに真っ赤な顔していた。

店内には今人気のバンドグループの音楽が流れていて、私はアーティスト名も曲名も分からない。きっと若い子から見れば私はもうおばさんと言われてしまう歳になってしまったんだと思う。


「残念ながら独身です。予定もありませんよ」

私は受け流すように笑った。