ばいばい、津崎。



私たちはとりあえずビールを頼んで、私はテーブル横にあるオススメメニューを見ながらお手拭きで手を拭いた。


「最近、調子どう?」

剛の話の入り口はだいたいこの言葉からはじまる。


「べつに変わりはないよ」

私の返事はいつもこれ。剛が「そっか」と言ったところでビールが運ばれてきて「お疲れさま」とジョッキを当てた。


渇いた喉を潤すようにビールを一気に流し込む。なんで大人は苦いビールを美味しそうに飲むんだろうと、若い時は不思議だったけれど、今じゃビールを飲まなければ始まらない。

そうやってお酒の味も徐々に覚えて、食事よりもお酒のメニューを見てしまう私は大人になったというより、ただの酒好きになってしまった。


テーブルに運ばれてきたのは焼き鳥やだし巻き玉子やとんぺい焼き。私は2杯目のハイボールを注文して、焼き鳥を食べやすいように串から外した。

そしてハイボールが運ばれてきたところで、私の唇が動く。


「今日さ、美貴に会ったよ」

いつ、どこでと聞かれたら仕事に行ってないことがバレると思ったけれど、剛は深く聞いてくることはなかった。